【実施報告】《団体会員限定》特別ワークショップ『今、勝ち残る海外留学生リクルート戦略とは』(2020/12/3-12/4 via Zoom

現在コロナ感染拡大に終息はまだ先が見えませんが、徐々にWithコロナ・New Normalを見据えた体制を考える時期に来ました。世界全体が急変する中、New Normalは決して前に戻ることを意味せず、大学は全ての方面で新しい戦略を立てることを求められています。
今回は特に海外留学生の動向を考え「リクルート」に焦点を当てました。
講師は大学・日本語学校の各立場で長く「海外留学生リクルート」に携わり、コロナ禍で各種の劇的な対応もされた専門家です。「今戦略を練らなければ、Withコロナは乗り越えられない」という危機感をお持ちです。
「半日×2日間」で現在の課題を分かち合い、「Withコロナ・New Normal時代を勝ち残る」ために、最終的にご自身の大学・機関での今後の具体的戦略を考えていく場となりました。
1. 主催
特定非営利活動法人 JAFSA (国際教育交流協議会)
2.担当講師
立命館アジア太平洋大学 アジア太平洋学部教授 近藤 祐一 氏 (JAFSA理事大学)
公益財団法人 アジア学生文化協会 理事長 白石 勝己 氏 (JAFSA正会員団体)

APU 近藤祐一氏

ABK 白石勝己氏
3. 開催日時
4.参加人数
参加者:JAFSA団体正会員大学6大学8名
5.研修内容
《DAY1》 12月3日(木) 13:00-16:00 |
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講師から以下の事項について現状分析と課題提起。参加者同士の情報交換や質疑応答。 ・「コロナ禍で何が起こっているのか」(海外・日本国内) ・「コロナ禍後に備えた「ブランディング ー アピールポイントと本質」(大学のケース・日本語学校のケース) |
《DAY2》 12月4日(金) 9:00-12:00 |
4人程度の少人数のグループで、《DAY1》の講義を踏まえ「新しい英語トラック新設学部の募集戦略を構築する」という命題で各グループワークする。ワーク終了後は各グループごとの発表・質疑応答。 |
6.参加報告
報告者:佐々木 弘子 (立命館大学)
研修概要:
新型コロナウィルス蔓延がもたらした留学生募集や日本語学校の変化、実話に基づくブランド構築の必要性と募集戦略の立て方を講義で学んだ。その後グループで仮想の英語プログラムの募集戦略を考え、発表した。
各講義内容について:
◆研修1日目◆
1. 「コロナ禍でなにが起こっているのか」:海外での動き、APU近藤教授
コロナの影響で留学生募集に起こりうる変化について発表があった。コロナ禍でも留学生は他国ではなく日本を希望するか、リスク回避のため長期留学より短期留学を希望者が増えるのではないか、等だ。またアジアでは、すでに国内の国際系大学への進学や域内(香港、シンガポール等)の大学の進学が増えている、と報告があった。
2. 「コロナ禍でなにが起こっているのか」:日本語学校での動き ABK白石理事長
本研修直前に行われたABKの日本語学校へのアンケート結果によると、2020年の4月、10月の在籍生の割合は定員に対して約4割と激減している。また、オンライン授業の実施割合も高い。コロナで渡日できない学生、入学予定者がオンライン授業を受けることに対し、「『日本に来て日本語を学ぶ』という商品価値が今後、これまで同様に支持されるのか」と白石理事長は懸念した。
3. コロナ禍後に備えた「ブランディング―アピールポイントと本質」:近藤教授
これまで募集でセールストークとしてよく使われた「日本留学という物語」はもはや神話、幻想、妄想になっているのではないか、と問題提起された。妄想から実話にするため、「自分の大学の本質と特異性をもとにブランド構築していくことが重要である。」と近藤教授は述べた。
4. リクルーティング戦略の構築 With Corona, Post Corona: 白石理事長
留学生募集の戦略の立て方について学んだ。アメリカのWorld Education Serviceの留学生受入れ戦略モデルをもとにした日本の留学生受入れ戦略モデルの説明があった。そして、海外における大学広報・留学生募集のながれが紹介された。
◆研修2日目◆
5. 大学の英語プログラムの募集戦略づくり(グループワーク)
2つのグループに分かれ、仮想の学部英語プログラムの募集戦略をたて、発表した。グループ1は、アセアン地域での募集戦略、グループ2はインドネシアの募集戦略を立てた。学事歴、出願資格などの教育事情を確認し、広報・募集活動をどう展開するか検討した。既存のネットワーク(文科省の海外拠点事業、現地事務所、大学のネットワーク、在学生等)やエージェントの活用についても話し合われた。主催のJAFSAさんより賛助会員の活用も提案された。
全体的な感想:
講師の豊富な現場経験に基づいた発表で、コロナの影響で変化する留学生募集の現況、募集戦略を立てる上での重要事項を学ぶことができた。また、参加者や講師から各大学の課題、入学者の確保やコロナ禍の受入れの具体的な取り組みも発表された。これにより課題を整理することができ、また先進的な取り組みついても学ぶことができた。本研修で学んだ、大学の本質と特異性、そしてどのような留学生を獲得していくのか、について具体化し、今後の募集活動に生かしていきたい。
7. 参加者からのアンケートより
- 留学生向けのマーケティング・リクルーティングを進めていく上で、課題となる部分(日本として、大学として)を理解することが出来た。
- 講師陣のリクルートに対する姿勢を垣間見ることができ、自分の甘さを自覚することができた。今後、自分の課員も積極的にこのようなWSに参加させたい。
- 自分の所属する大学の状況の遅れている部分を認識したと共に、これから何をしていく必要があるのかを冷静に理解する良い機会となった。
- 講師陣の適切な介入(ファシリテーション)がちょうどよく、役職や経験年数にかかわらず気持ちよく意見交換することができた。